東京高等裁判所 昭和39年(ネ)1966号 判決
控訴人は本件土地は伊形から買受けたものの如く主張するが、前認定の事実によれば伊形は実質は本件土地を含む周囲の土地により融資を得たといいうるが、権利関係としてはすでにいつたん電建に売渡したものであり、電建からさらに被控訴人名義で芝山に売渡され、その登記も了しているのであり、前記関係者間の取りきめも右取引関係をさかのぼつて解消したものではなく、もつぱら事態解決の善後策として爾後の処置をしたものであるから、控訴人が被控訴人名義の芝山の債務を引受けるとともに売買名義で出捐する金三〇万円は芝山のすでに支払つた分を補填し、あわせて若干の値上りや利益を償う意味を有するものと解されるのであるから、右売買の相手方は伊形でなく、被控訴人名義の芝山であることは明らかであり、前記甲第六号証、第七号証の一に清田ヤエないし清田代理人数野清太郎とあるのは被控訴人名義における芝山の代理人たる数野清太郎を意味するものであることは当然の結論であり、控訴人の支払つた右金三〇万円が伊形の手中に帰したことを認めるべき証拠はない。控訴人は要するに本件土地については前記経緯でその時の所有者から買受けて所有権を取得したことを主張するもので、ひつきよう現に本件土地所有権者であることを説明するものに過ぎず、右のように認定したからといつて弁論主義に反するものではない。
(浅沼 岡本 田畑)